生活習慣病について
生活習慣病には、糖尿病や高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などがあります。日本に限られたことではありませんが、長年にわたって脂っこい食事、野菜の摂取不足、肥満、運動不足などの日常生活を続けている人が増えており、これに伴って生活習慣病の方が増加の一途をたどっています。
生活習慣病は、一つ一つは軽症であっても、幾つもの疾患が重なることにより、身体の状態がひどくなったり、動脈硬化を進行させたりします。その結果、日本人の死因の上位を占めている心疾患や脳血管障害の危険性が高まるのです。そのような事態を招かないよう、生活習慣が良くないと感じている方は、たとえ症状の自覚が無くても早めに生活習慣の改善に取り組むようにしましょう。
主な生活習慣病
糖尿病
糖尿病は、何らかの要因によって血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むことが出来なくなり、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。血液中のブドウ糖が長期にわたって過剰になり続けると、全身の血管に様々な問題が現われます。目の網膜に起こると失明の危険がありますし、腎血管が詰まると腎不全に伴う血液透析が必要になったりします。また、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞の原因となるケースも見られます。
このように、糖尿病は様々な病気を引き起こしかねないのですが、現段階では完治させることは出来ません。一旦発症すると、一生にわたって治療を続けていく必要があるのです。但し、糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、食事療法や運動療法、薬物療法などを続けることによって失明や血液透析のリスクを減らすことは十分に可能です。健康診断などで血糖値の異常などを指摘された方は、病状が悪化する前に医療機関を受診するようお勧めいたします。
高血圧
高血圧は、血圧が一定の範囲を超えて慢性的に高く維持されている状態です。健康な成人の場合、最高血圧(心臓が収縮して血液を全身に送り出したときの血圧)は130㎜Hg未満、最低血圧(心臓が拡張したときの血圧)は85㎜Hg未満に留まっています。これよりも少し高かったとしても、他の疾患などが見られなかったならば、ほぼ正常だと考えられます。しかし、最高血圧が140㎜Hg以上、最低血圧が90㎜Hg以上になると、血管の壁にかかる負担が強くなり、様々な健康上の被害が起こりやすくなるので、治療が必要となります。
高脂血症(脂質異常症)
血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)や中性脂肪の濃度が慢性的に高い状態、あるいはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が少ない状態です。健康な人の場合、LDLコレステロール値が140㎎/dl未満、HDLコレステロール値が40㎎/dl以上、中性脂肪が150㎎/dl未満です。この3つの数値のいずれかが逸脱すると脂質異常症になります。また、LDLコレステロール値が120~139㎎/dlの場合を「境界域高コレステロール血症」と呼び、その他の生活習慣病(糖尿病など)の罹患状況を見極めて治療の必要性を判断します。
高尿酸血症
私たちの血液には、プリン体が代謝されてできた尿酸という老廃物が含まれています。これは、水分に溶けにくい性質を有していますので、適正値(男女ともに血清尿酸値7㎎/dl以内)を超えてしまうと、針状の尿酸塩の結晶が産生されていくのです。このように、尿酸値が高くなって尿酸塩が出来やすくなった病気が高尿酸血症です。
なお、健康診断などを受けたとき、検査結果報告で「血清尿酸値の基準値は男性3.8~7.5㎎/dl、女性2.4~5.8㎎/dl」と記載されていることもありますが、この数値は参考程度に捉えておいて結構だとされています。通常の条件では、7㎎/dlまでの尿酸は血漿の中に溶け込むからです。但し、健診での他の検査数値によっては、尿酸による弊害が起こる可能性もありますので、まずは医療機関を受診し、治療の必要性をご相談ください。